2020/02/17 13:35

近年マスクの需要がうんと上がって、多くの人が季節問わず着用する機会が増えましたね。
風邪やインフルエンザ対策に、はたまた花粉避けに、保湿や保温を主目的にする人や、すっぴんを隠したい人まで!
皆様はマスクを選ぶ際にどこを基準に選んでいますか?

マスクファクトリーはそんな疑問を解消するべく、
マスクの選び方<フィルター編>として、まずはマスクのフィルター性能に着目して調べてみました。

あなたの選んだマスクはあなたの求める機能性をきちんと持った製品なのか、
はたまたオーバースペック商品なのか?!
この記事を読んで、自分の求める性能をもつマスクを選んでみてくださいね。

<実は家庭用マスクには公的な基準がない?!マスクの公的な基準>


実は日本国内にはマスクの基本性能を公的に定めた基準は1つしかありません。
それは作業現場などで使用される粉塵マスクのフィルター性能に関するもので、家庭用のマスクに関して定められたものはないのです。
でも、皆様お手持ちのマスクのパッケージには、

〇〇99%カット!

など何かしら性能に関する文言が表記されていますね。
あれの正体はなんなのでしょうか?

<そもそもマスクの性能とは?>


あなたが求めるマスクの性能はなんでしょうか?
風邪などのウイルスの感染を防いだり、花粉対策に、春にはPM2.5対策というものではないでしょうか。
それらの目的は、マスクをした状態で呼吸をした時に、
ウイルスや花粉などの粒子をいかにマスクのフィルターが防ぐか、
ということにつきます。
つまり、マスクのフィルターがどれだけ細かい粒子を捕集(濾過)できるかということがマスクの基本的な性能であるということができます。
息を吸い込んだ時にどれだけ細かい粒子をフィルターでキャッチして口に侵入してくるのを防げるのか

それらを明確にするためにいくつかの粒子の種類や大きさに応じた捕集試験というものがあり、
それらにクリアしたということを示した表記が、


〇〇99%カット!


のパッケージ表記の正体なのです。


<マスクで防ぎたい花粉やウイルスなどの粒子の種類や大きさについて>


先ほどのマスクに求める性能のお話しで、風邪やウイルス、や、花粉、PM2.5という粒子が出ましたが、
多くの人がこの辺りを一緒くたにしがちです。

99%カット!

の部分を見るとなぜか安心してどちらに対しても効果があるように感じてろくに見もしないままになりませんか?
本当に自分の求める性能を知るには、

”〇〇”99%カット!

の〇〇部分が何であるかを知ることが非常に重要なのです。


花粉と風邪などのウイルスには明確に違いがあります。
ではここで問題です。

⑴花粉対策に!とパッケージに謳われている商品は風邪などのウイルス対策にも有効でしょうか?
⑵またPM2.5対策に!とパッケージに謳われている商品は花粉対策に有効でしょうか?

⑴は×で⑵は性能的には◎だけれど、花粉対策用のマスクの選び方としては必ずしも適切ではない場合もあり、と答えましょう。


先ほどお話にあった風邪などのウイルスと花粉の粒子の大きな違いは、粒子の大きさです。
PM2.5、風邪などのウイルス(インフルエンザウイルスもここに入ります)、花粉のうちもっとも大きいのが花粉、風邪などのウイルスを
含む飛沫がその次、空気に漂うウイルスやPM2.5などはもっとも小さな粒子なのです。
数値で示すと花粉は30μm、風邪、インフルエンザなどのウイルスを含んだ人の咳くしゃみなどの飛沫が3.0〜5.0μm、
PM2.5が2.5μm、細菌が1.0μm、空気中に漂う乾燥状態でのインフルエンザウイルスなどは0.1μmです。
花粉とインフルエンザウイルスの大きさは300倍も違うのです。


なので先ほどの問題。

⑴の場合、花粉対策としか謳っていない商品の場合、風邪などのウイルスやPM2.5などの粒子は通過してしまう可能性が高く、
求める性能を満たしていないと言えます。
⑵の場合は細かい粒子をキャッチできるフィルターなので性能的には花粉ももちろんキャッチして吸い込むことは少ないでしょう。
ただし、粒子の細かいものをキャッチできるフィルターであるということは、その分細かい網目になるので多少呼吸のし辛さはアップします。
花粉症による鼻づまりでただでさえ息苦しさのある人にとって、これらの高機能すぎる製品はややオーバースペックで、
そのスペックの高さによる息苦しさというデメリットが花粉症の人にはとても辛く感じることもあるでしょう。



高機能な細かい粒子対応のマスクを選んでおけば基本的に性能の面では問題ありません。
ただ、マスクは毎日使うものなので、ただただ大は小を兼ねる的に選んでしまうと本当に求めるものとは違ってしまうこともあります。

<各粒子に対応した捕集試験の種類とパッケージ表記の見方>


自分の必要としている性能のマスクを正しく選ぶにはそのマスクがどの大きさ・種類の粒子に対応しているかを知る必要があります

そこで覚えておきたいのがフィルター部分の性能試験法です。
性能試験法などというと難しく感じてしまいますが、
要は先ほどのお話しの粒子のうち、どの粒子を捕集(濾過)し、侵入を防ぐことができるか、
基本的にはフィルターの荒さを示すためのものと考えて大きく間違いはないと思います。
フィルターはざるやふるいのようなものなので、お米をキャッチできるザルでも小麦粉は無理というようなことが、
マスクにもあるということですね。

まず一番大きな花粉の粒子に対応した捕集試験。
試験に使用する粒子を試験粒子と言いますが、
花粉に見立てた約30㎛以上の試験粒子をフィルターが捕集(濾過)できるかを見極める試験です。
これにクリアすると花粉対策用としてパッケージに表記されています。


次に風邪・ウイルス用の捕集試験です。
これらの粒子に対応した捕集試験は2種類あります。

1つ目がBFE(Bacterial Filtration Efficiency)という捕集試験です。
日本語でいうとバクテリア飛沫捕集(ろ過)効率試験となり、バクテリア=細菌に対する捕集性能を調べる試験となります。
試験粒子には黄色ブドウ球菌の懸濁液(約3㎛)が使用されます。
懸濁液とは固体粒子が液体中に分散した状態を言いますが、この場合は黄色ブドウ球菌の固体粒子が液体中に分散した状態であるものを使用するということです。
この試験の結果をBFE試験で〇〇%まで捕集しましたということが表記できることになっていて、その上限が99%となっているので、99%カットという表記をよく目にするのです。

2つ目がVFE(Virus Filtration Efficiency)という捕集試験です。
日本語でいうとウイルス飛沫捕集(ろ過)効率試験となります。
試験粒子にはバクテリアオファージ(約1.7㎛)が使用されます。
バクテリアオファージとは細菌(バクテリア)に感染するウイルスの総称です。
BFE試験と同様に99%まで表記することが可能です。


ここで、バクテリオファージという難しい言葉が出てきてしまいましたので解説します。

そもそも細菌(バクテリア)とウイルスは同じものではなく違いがあります。
1つ目の試験に出てきたバクテリア=細菌は、主に肺炎や食中毒の原因となるもので、
バクテリア(細菌)は環境が整えば自分単体で増殖することが可能です。
納豆菌や乳酸菌をイメージしてもらうとわかりやすいですね。

それに対してウイルスはノロウイルスやインフルエンザウイルスなどをさし、ウイルス単体で増殖することができません。
そのため、ウイルスは細菌に感染し、細菌の体内で増殖することで自らを増やしていきます。
この、細菌に感染して食べて殺してしまうウイルス、のことをバクテリアオファージ、というのですね。
インフルエンザなどウイルスには潜伏期間がある、ということは多くの方に知られています。
体内に入ったウイルスは単体では増えることはできないので、体内の細菌に感染しその中で増殖するのですが、
ウイルスが体内に入って、そこから爆発的に増殖し体に症状が出てくるまでの間が、
良くいう潜伏期間の正体なのです。


最後にPM2.5に対応したPFE(Particle Filtration Efficiency)という捕集試験です。
日本語でいうと微粒子捕集(ろ過)効率試験です。
試験粒子がポリスチレン粒子(0.1㎛)使用され、99%までの捕集効率を表記できます。

PM2.5は大気に浮遊するごくごく小さな粒子をさします。
PMはparticulate matter(=粒子状物質)を略したもので、直径が概ね2.5μm以下の超微小粒子の総称をPM2.5といい、特定の物質を表しているわけではありません。
PM2.5の成分を分析したデータなどは多くありますが、天気予報にもPM2.5指数が伝えられるように、日や場所、天気などによって異なります。
主に炭素成分、硝酸塩、硫酸塩、アンモニウム塩のほか、ケイ素、ナトリウム、アルミニウムなどが含まれています。
非常に微小な粒子で肺の奥深くまで入ってしまうため、喘息などの原因の1つとして懸念されているものです。

近年注目されるようになり、特に日本では黄砂の時期によく話題になりますね。
この実験ではPM2.5などごくごく微小の粒子に見立てたポリエチレン粒子で試験し、その結果を99%まで記載することができます。
このPFM試験がもっとも小さな粒子に対応した捕集試験で、PM2.5の他、空気中に漂う飛沫内ではないウイルス単体に対してだったり、SARSウイルスや結核菌ウイルスなどの小さな粒子に対して、最も捕集効率の高いということができます。


<あなたにあったフィルターを備えたマスクの選び方>




ここまでのお話であなたにあったマスクの選び方を、マスクのフィルター性能という観点でお話ししました。


あなたが特にウイルスなどに対してはそれほど関心が高くなく、とにかく花粉を防ぐということを第一に考えるのであれば、
花粉対応マスクとだけ記載されたもので機能的には十分です。

通勤の電車内、人からの飛沫感染などを防ぎたくてマスクを着用したいのであれば、花粉対策用では不十分ということになり、多くのウイルスは主に空気感染よりも主に飛沫感染(一番は接触感染ですが)からになるので、

BFE・VFE99%カットと記載されたマスクを使用することが最低限望ましいでしょう。
どんなウイルスに対しても万全を期したい、とにかくできる限り最強のマスクを着用していたい、
という場合、最も微細な粒子を防ぐ製品であるPFE99%カットと記載されたマスクでないと
求めるフィルター性能を備えた最強マスクとは言えません。

そして、マスクが息苦しいのがいやだという人は、
フィルター性能に比例して息苦しさという要素も大小する点も考慮すべきでしょう。

マスクにはこれが最強!これこそオールマイティ!というものがなく、一長一短があるものということがわかっていただけたかと思います。
そしてその一長一短の長と短の基準は、使う人によって変わるということですね。
何を一番重要とするかによって自分の選ぶべきマスクも変わってくることがわかっていただけたかと思います。
以上のような点を踏まえて、自分にとって一番バランス取れたマスクを選ぶといいですね。

しかし!
マスク選びというのは踏み込んでしまえば、まこと、奥深き道なのです。
これだけでは話が終わらないのです。
次回、マスクの選び方<サイズ編>に続きます。